現在の国内物流について、およそ90%がトラックで行われているというのが実情であります。しかしながら、一人の人間で移動出来る距離及び時間には当然限界があり、これを超えてしまうといわゆるコンプライアンスや心身へ問題が発生してしまいます。そういった問題を起こさない為にも、長距離輸送については船舶や鉄道など、直接トラックを西へ東へ動かすよりも効率的かつ無駄の無い輸送手段が広がっていくと物流に関わる様々な問題が解決されていくはずです。時間指定の厳しい商品や緊急品などはトラックで運ぶ以外選択の余地はないですけれども…全てが必ずしもそういう品物ではないはずですから。
こういった話をすると、トラックで運ぶお仕事をしている自社の荷主様が逃げてしまうのでは?と言われてしまいそうですが、実情としてある中型免許制度や業界全体のイメージによる深刻な人材不足の解消へと少しだけつながるのです。
解消…と言っても感覚としてはちょっと難しいのですが…
結局輸送する品物の総量に変化が無いとすれば、直接長距離で輸送していた品物が、鉄道拠点までの輸送となる為、長時間移動・拘束がまず減ります。すると納品した車両を次の仕事へ回せるようになり、輸送回転率(効率)が上がるので、1台の車両での輸送量を増やすことが出来ます。また、鉄道で輸送された貨物も別なトラックが積み込み配送を行うので、1台で輸送出来ていた貨物に対して2台必要になりますが、例えば西行きの貨物を鉄道に乗せ、西から届いた貨物を積んで運ぶ、というシステムが作られれば相当に無駄は無くなり、台数を増やすことなく今よりも多くの貨物を輸送することが出来るのです。
かと言って、学者さんが言う運賃が下がる、ということでもないと思います。現在前年比で運賃が5%上がっている(全ト協調べ)そうですが、これは製造原価の上昇と僅かながらにでも利益の確保の為、業界が痛い思いをしながらの文字通り苦肉の策の結果であります。まだまだ、根拠のない不思議な低運賃は存在しておりますから、そういった不思議価格が一旦市場平均相場まで上がった後、少しずつ落ち着いて行くというのが大筋なように思います。物流効率が上がって人材不足が解消されたからと言ってすぐに運賃が下がるということはありません。課題はまだまだ多いのです。
さて、よくわからない話しになってしまいましたが、我々運送事業者としては、そんなモーダルシフトの波にいかにして乗るか、ということになっていきます。荷主企業より長距離輸送を鉄道で…と要望された場合には、総輸送コストの提案力も必要ですが、鉄道で輸送した先の車両手配まで担保しなければなりません。その場合の安定した供給力と目に見えない部分の品質の確保というのは、わたしたちのような規模の大きくない運送業者にとっては苦心するところです。だからこそ、今後は情報とネットワークと品質がとても大事になってくるのです。
とはいえ、これらは我々中小の運送会社のチャンスというよりも、大手運送会社にとってのチャンスです。多分。
今後の動向にもしっかりアンテナを張って、いかに対応できるような形を作っていくかじっくり考えて行きたいものですね。本当は線路の限界と輸送量の限界と稼働時間の限界を考えると、実はそう多くの貨物を輸送出来ないんじゃないかな?とかこっそり思っていたりする程度で、全然よくわかってないんですけれど。
おなつ。
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